無口とお節介
- 加藤 誓(ちかい)

- 6月19日
- 読了時間: 3分

チェーン店のそば屋へ数人で行き席に着いた。写真入りの メニューを見て各自注文を決めた。パネルで発注することの様で、 操作開始。「品が多すぎて見つからない!分かんない!」店員さん を呼ぶボタンを押す。
結局、店員さんにパネル操作をお願いする。
他の老夫婦の席でも 店員さんが操作をしていた。
かえって手間が増えているようだ。
少し高級の回転寿司に一人で行った。そこは、お客さんは多く いるものの、お店はシーンと妙に静かである。 カウンター席にパネルが置いてあり、注文をする。なかなか寿司が来ない。
注文が出来ているか心配だったが、店員さんが遠くにいるのと、尋ねる勇気もなくジーと 待っていた。 暫くすると、目の前に音もなくスーと寿司が着いた。
ボタンを押すように書いてあったので、押すと寿司がスーと戻っていった。
寿司を運搬台から取った後、押すボタンであった。 店員さんは何事もなかったかのように無言で、また寿司を送ってきた。
コロナ禍を思い出す「ひとり黙食」であった。
清算もコンビニと同じで、店員さんが指でパネルを押すように無口で指示。
寿司は美味いが味気ない雰囲気であった。
神戸の孫家族とファミレスに行った。そこは、配膳ロボットがチャリン、チャリンと音を 奏でながら注文した品を運んでくる。ロボットに「ありがとう!」というと、「どういたしまし て!」と喋る。無口な店員さんよりましだが、何か不気味である。
チェーン店の外食は、注文も支払いも自分で操作をしないといけなく面倒であるが、
それよりも、会話が少ないのが一番気にかかる。
朝、グラウンド・ゴルフの練習に出掛けるため、靴を履こうとしたら、「お茶持った⤴。 帽子は⤴。補聴器は⤴。」女房が台所から、大きな声。
「グラウンド・ゴルフだから補聴器はいらない⤵。」
今日は診察日。「マスク持った⤴。」「マイナンバーカードは⤴。」
有り難いのではあるが、 少々鬱陶しい。
車に乗せると「あっ、左、車⤴。」「右、自転車⤴。」と女房。 「見て分かっているから、黙っていて⤴。大きな声でびっくりして、逆に危ないから!」
食事の時も同じで、「天ぷらは何をつけて食べる⤴、刺身は、しょうが⤴?ワサビ⤴?」 「どっちでもいい⤵。」「あっ、こぼした⤴。」と布巾を持ってきて拭く。
よく気が付くというか、幼稚園児扱いである。
ところが、最近そのお節介の点検に助かることが増えてきた。
「スマホは⤴?」「あっ、忘れた⤵。」「どこに置いた⤴。」「食卓⤵。」「もう、⤵。はい、どうぞ!」 「カメラは持った⤴。」「「あっ、忘れた⤵。」「どこ⤴?」
「昨日のカバンの中⤵。」「手帳は⤴?」 「あれ!ない⤵。」内ポケットを探る。
「あった!あった!」と幼稚園児のよう!
玄関を出るときは言葉少なく「行ってきます。」で済み、家での食事も黙食で済むはず が、この多くの無駄な?会話。 やはり気にかかる。



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