忘れたエコバッグ

加藤　誓　宛の　大きな荷物が運送会社から届いた。

内容の欄には「エコバッグ」、差出人は「円満　調査事務所」

その差出人の住所は　島根県東出雲町黄泉国　とあり、　

青森県むつ市恐山　経由の消印が押されていた。　

そうだ、三途の川を放浪し閻魔大王のお裁きの時　鬼籍簿の誤記で　

奇跡的にこの世へ戻ることができたのだが、そのお白洲に忘れてきた

エコバッグが届いたのだ。

早速、封を開け中身を検証した。冥土の土産屋で買った、祖父母や父親への土産の

下着やホッカイロ、ロキソニンテープに簡単ガラケー、カラオケセット、

それ以外にノンアルコールビール　アベノマスクなどが入っている。

中身は間違いない。

段ボール箱から　エコバッグを取り出したらエコバッグがスーと消えた。

下から　白封筒と　木の小箱が出てきた。先ず、二重になった白封筒を開けてみた。

これは弱った。閻魔大王に名前を覚えられてしまった。次回は慎重なお裁きになりそうだ。

悪いことは出来ないし、お早目のまたのお越しにも困る。

交通事故防止や、新型コロナ感染防止そして生活習慣病には今まで以上に心して

取り組むことが要りそうだ。　　先ずは、交通川柳を詠んで気を引き締めよう！

　「うっかりが　ただそれだけで　あの世逝き」

　「急ぐなよ　　あの世この世の　交差点」

　「事故で逝く　閻魔は聞かず　言い訳を」

　新型コロナワクチンはありがたい。即、接種しよう！　

　　　　　　　　　　　食事、特に酒には気を付けよう！　　　　　　　　　　　　　　　

次に木の小箱を開けてみた。　「がん封じ」「家内安全」のお守りが出てきた。

閻魔大王からの「お詫びの品」のようである。それなら「恐らく御利益は

抜群だぞ！」と喜んだ。　コロナ禍で大切なのがこの二つなのだ。

旅行やスナックに行きたい。カラオケや会食がしたい。皆と騒ぎたい。

何かしたい。

この願（がん）を心穏やかに封じることが出来るお守りをくれたのだ。

もっと嬉しかったのは　女房（家内）との安全を保証してくれる

お守りだ。

さすが　閻魔大王様は偉い。何でもお見通しなのだ。