アルコールと私
- 加藤 誓(ちかい)

- 2021年6月9日
- 読了時間: 2分
更新日:2022年6月18日

仕事の関係で35年前お酒の代謝の研究に係わった。(芳原準男*アルコールで検索すると論文が出てくるよ!)
お酒を飲むと、エチールアルコールが胃から吸収され脳の神経を軽く麻痺させ いい気分になる。 しかし同時にアルコールは、血中でアセトアルデヒドに変化する。これが、血圧上昇、フラッシング(顔が真っ赤)や吐き気など悪酔い、長期的には肝障害を引き起こすのだ。
酒が強いと言われている人は、アセトアルデヒドを直ぐ酢酸、いわゆる酢に変えて
無毒化するのだ。

その仕事をする酵素をアルデヒドデヒドロゲナーゼ2(ALDH2)という。
研究は、このALDH2の酵素活性を高めるものを探すことである。
私が狙いを付けたのは、SH化合物である。
難しそうだが、パントテン酸、タウリンやアミノ酸の一つメチオニンやL-システインなどである。もっと分かりやすくいうと「シジミ・牡蠣・イカ・タコ」などに多く含まれているものである。

岡山大医学部の学生にお願いし、色々なSH化合物を事前に
服用してもらい(何も服用しないのと比べ)一定量の
ウイスキーを飲んだ後の血中アルコール濃度、
アセトアルデヒド濃度、酢酸濃度の経過測定をしてSH化合物の効果
を比べてみたのだ。

予想通り大小はあるが、SH化合物は酵素活性を2~3倍高め、
アセトアルデヒドを素早く酢酸にする結果を得た。
広告で、「酒の回復にシジミエキスを!」「ハイチオールCの効能にある二日酔い!」その根拠になった研究である。

その実験で酵素ゼロの学生がいた。
ゼロを活性化してもゼロであり、3日酔いの状態となり
今だったら裁判沙汰だった。
まったく酒がダメな人は、この酵素が元々ゼロの人である。
一気飲みの強制での死亡はこの様な人であり、実験後、
飲めない方には決して強制しないことにしている。
一般的に男性より女性はこの酵素が少ない人が多い。
ところが、精神不安定症でキッチンドラガーになると
その酵素は徐々に増え1日にウイスキー1本以上も飲むようになるのだ。

私は、お酒が好きで、ある程度は飲める自信がある。
これが、失敗の元。今まで酔っぱらって失敗したことは、数えきれない。
研究はしたが「わかちゃ、いるれど、やめられない!」
困ったことだ。



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