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あの世(Ⅲ)


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深夜パソコンを眺めていたら、「極楽の地震の報道は、誤りです。大きな太陽フレア発生のため、 極楽のテレビに地獄テレビ局の画面が映ってしまいご迷惑をお掛けしました。訂正してお詫び申し 上げます。」とあった。

しかし、天国が揺れたのは間違いないようだ。別の記事に「今年の 2 月極楽浄土にやってきた、

星のフラメンコ 西郷輝彦のコンサートがあり金曜日 15 時前、皆が

一斉に X ジャンプし地震計 は震度3程度の揺れを観測」とあった。

そんな馬鹿な!と思った瞬間、またパソコンへと 吸い込まれ極楽に着いた。

 最近、観光解禁の所為か極楽 への行き来が容易になったような気がする。

蓮の花咲く公園をカップルが手を握って歩いていた。

 ご近所の長い間独居生活をされていたご婦人と、その 故ご主人である。

「あなた!久しぶり!」「7年間も待っていたぞ!」 「早く会いたかったけど、あなたが突然亡くなったので、その整理と孫、息子のことで 大変だったのよ!やっと終わったので、急いでここに来たの!」「そりゃ!悪かった! 逝く前は、すこぶる元気だったものだから、終活など考えすらしなかった!迷惑を掛けた ね!」

 私が側にいるのが見えないのか、楽しそうに二人は去って行った。

 その、30m後ろにやはりご近所の方で最近お亡くなりなった方が、スキップしながら

楽しげにこちらに向かって来た。

 声だけ相手に聞こえるスマホで「奥さん!1 年前亡く なったご主人、今どうされてますか?」ご婦人はキョロキョロ周りを見るが誰もいない。

 独り言で「主人は地獄へ逝ったのかなぁ!もし極楽に居ても私が会いたくないと宣言し たからこれからも、会うことは全くなく安心して過ごせるわ!」弾けるように叫んだ。    「ここは極楽だわ!」

私には、この世の時のご主人と彼女の関係は、そんな風には決して見えなかったが、

実際は大変だったのだろう。

 ところで、極楽では、お互いに会いたいと思えばいつでも会うことが出来る。

 しかも、時空を超えるのだから、自分が生きてきたどの年代でもその時の会いたいと思う 友人、親族など誰にでも会えるのだ。

 「あの時ごめんね!ちょっとした行き違いで。どうしょうもなかったんだ!」

 「こちらこそ!そんなことがあったなんて知らなく本当にごめんなさい!」

極楽は、誰も都合の良いように言い訳が出来るのだ。ただ、誤解を解くことが出来たと

しても、その後の生き様に変化は全くない。生きてきた過程は変わらないのだ。

 夕刻になった。極楽の西の空が真っ赤に燃え幾重にも重なった黄金に輝く雲が見える。 年数を重ねると極楽浄土も段々と上の方へと昇ってゆき小野小町は、今や 1 万 m 上空 の雲の上で生活しているとか、案内役の赤鬼が教えてくれた。

 ホンの少しだが、何となく極楽浄土が見えてきた。

 あの世は、この世の続きのようだ。


 

糖尿病で水の飲み過ぎなのか、最近直ぐトイレに行きたくなる。

                       我慢できず、目が覚めてしまった。

 
 
 

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