男料理
- 加藤 誓(ちかい)

- 2021年6月2日
- 読了時間: 2分
更新日:2022年6月17日
男子厨房に入らず」とは男尊女卑の言葉として有名である。

私は「妻の仕事は尊重し手を出さず 自分の仕事に集中せよ」
と解釈しているが、最近の若い家庭においてはこの言葉は死語のようである。
そもそも私が料理に係わったのは「釣り」が原因である。
半夜釣りと言って18時~23時に磯で釣りをして真夜中の
1時に帰宅するのだ。
小さい子供の面倒で疲れている妻は当然寝ている時間だ。大した釣果ではないが
小魚がいる。小魚は朝まで持たない。仕方なく自分で捌くことになる。

上手くできないのは包丁が悪いと言って大きめの出刃包丁と
小さな出刃、刺身包丁に大中の日本包丁合わせて5本購入し
てきた。現在も台所には8本もの包丁がある。
何回も小魚を捌くうち少しずつ上達してきた。
砥石を買ってきて使いもしない包丁を研ぐのも始めた。
切れ味を試すのに魚だけでなく野菜も切るようになった。
胡瓜の細切り、人参の乱切り、大根の桂剥き、キャベツの千切り、練習とばかり大量に
切り過ぎ妻を困らせるのだ。

今度はカレーライス、中学の時家庭科で作ったことがある。小麦粉を煎ってカレーの元を加え軽くもう一度煎る。焦げ過ぎ苦い。
それ以来市販のカレールーを使用することとなったが、インスタントは嫌だとガラムマサラを加え、また加え、いつしか子供も食わない
自分だけの好みのカレーとなった。
次は「チャーハン」。熱いご飯に生卵と少しのサラダ油と数滴の
ゴマ油を混ぜ合わせて炒める。所謂「黄金チャーハン」である。
パラパラになった。塩コショウを振る。味見する。うまい。黒胡椒をガリガリ摺る。
隠し味に醤油を少々。美味い。 更に少々岩塩を加える。塩からい。まずい。
自分だけで食べることになる。
次に釣ってきた「アイナメの煮付け」。下拵えとして酒と生姜で
臭みをとり基本の「さしすせそ」の順に砂糖、醤油、そしてみりん。配合は良いが魚に対して汁の量が多いことに気付かず煮詰める。女房はスプーンで少量の煮汁を掛けて仕上げるがそんなことは知らない。
ベトベトで濃い味のアイナメの煮付けをやはり自分だけで食す。
どうも味付けは 掛け算、割り算、足し算はできるが、引き算ができない。
味見の時、少し薄味ぐらいがいいようだ。
後期高齢者となりその上コロナ禍のため暇な私は、遊び半分で厨房に入ることが多くなる。
「そこ、どいて!邪魔!」と妻の声。
「男子厨房に入らず」とは「君子危うきに近寄らず」が正しい解釈のようだ。



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