掃除機
- 加藤 誓(ちかい)

- 2021年6月22日
- 読了時間: 2分
更新日:2022年6月18日

梅雨時の晴れ間に天日干しした布団を、女房が圧縮袋に入れ、掃除機で吸引を始めた。
私はたまたま、補聴器を付けてテレビを見ていた。
「ビユー ビュー、ウィーン ウィーン」すごい音。
終わったと思ったら、次の布団、その後も、毛布そして、また布団。掃除機が何度も唸り声を上げる。
文句も言えないので「ダニ防止はしたか。湿気防止剤は
入れたか。圧縮し過ぎるなよ。」とチャチャを入れ、
暫くの間我慢をした。
次の日、「お父さん、掃除機が、ウンともスンとも言わない。掃除ができなくて困る。」
また、操作ミスか接触不良かと色々点検して みたが、直らない。
昨日、年老いた掃除機を女房が無理やり頑張らせ、発熱異常を起こさせたために違いない。
「15年間頑張ってきたがさすがに寿命かな。新しいのを買うか。広告で見たサイクロン&コードレス掃除機はどうかね。」「安いので、いいよ。でも軽いのにしてよ。」
早速、インターネットで調べ始めた。色々な種類がある。大型からハンドタイプ、充電時間や使用時間、用途別の付属品の異なるものなど、また、それによって値段もまちまちである。
メーカーも国産、米国産とあり、どれが良いか、なかなか決まらない。ここは、やはり有名な米国Dメーカー製に決めよう。
その中で、これがいいかなと思ったが、重量がある。軽くて、長時間使えそうな最新式は
10万円以上し女房の機嫌が悪くなるだろう。色々な検討の結果、1.5Kgがキャッチコピーのサイクロン&コードレス掃除機に決めた。今日は、あいにくの雨。家電量販店はやめて、2日後には自宅に届くインターネットで買うことにした。

予定通り2日後宅配便で届き、箱を開けた。掃除機は部品に分解して箱に入っていた。
しかし、取扱説明書はなく、4枚のペラペラな紙だけだった。納品書、注意書、英語で書かれた収納取り付け説明書、最後に取扱説明書はインターネットで見よとのパンフレットである。保証書もインターネット登録である。
掃除機なので組み立ても操作も取り付けも簡単で困らないが、女房のためにD社公式ウェブサイトから印刷をした。
米国家電ではこれが普通なのか、それとも、国産メーカーが、サービス過剰だったのか、考えてしまう。
年老いた掃除機はいつもクローゼットの中に住んでいたが、最新式掃除機は充電のため部屋
の片隅のコンセント脇ではあるが、我々の居住空間であるリビングに堂々と住むこととなった。
箒(ほうき)や雑巾は人目に付かない所が普通と思う私には、
この掃除機の光景は
「シャツをズボンから出して着る」のと、同じくらい、
何となくしっくりしないのである。



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