釣り
- 加藤 誓(ちかい)

- 2021年6月2日
- 読了時間: 2分
更新日:2022年6月17日
海のない県で育ったので、海での釣りが大好きである。

防波堤・磯も随分やったが、今は馴染みの船頭さんの仕立て船である。
竿はなく直接 釣り糸を持って釣る手釣りであるが、
仕掛けから餌まで全て船頭さん任せの「大名釣り」である。
乗船者は釣り仲間Sさんと船頭さんと私の3人である。
船頭さんは篠島住人で、船は知多半島の片名港から朝5時出航した。

朝焼けの中、潮風を切って船は一路 神島沖を目指し
小1時間後、釣り場「瀬木寄瀬」に着く。
魚群探知機を見ながら、付近を何回もグルグル回り潮の流れも考え、いかりを落とす場所を決める。
今日の釣果がかかる船頭さんの経験の見せ所である。
第一投の頭の中は、ハマチと鯛の姿で一杯である。
船頭さんが「30メーター、底2ヒロ上げて!」
仲間のSさんが「誰が最初に釣るか勝負!」

30メーター先の針と餌の動きが 分かる様、糸を持った指先に、神経を集中する。
隣の船頭さんがグイと糸を手繰り寄せた。糸が真下に潜った。
そして、船頭さんは糸を送った。私が「大きい!鯛だ。」と叫んだ。
船頭さんは静かにタモ網で60㎝台の鯛をすくった。
暫くするとSさんがグーンと糸に引っ張られ 腰を浮かした。

船頭さんが「ハマチだ!加藤さん釣り糸を片付けて!」慌てて糸を巻き上げる横で、Sさんの糸は、みぎ、ひだりと大暴れ。
やっと、ハマチが見えてきた。80㎝級の丸々太った一本で
あった。Sさんがこちらを見てニヤッと笑った。 焦った。
一刻が経ち、潮の流れが緩やかになった。日差しも強くなってきた。
釣り糸は真下に垂れ下がったままである。
船頭さんが撒き餌カゴを 何回も上げ下げするガラガラの音がむなしく響く。
こんな時でも、船頭さんは40㎝クラスの鯛をコンスタントに釣り上げる。誘いは殆どしていないようだ。餌のウタセエビの付け方なのか、合わせのタイミングなのか、船頭さんの
動きをじーっと観察するが 自分との違いがどうも分らない。
12時を少し過ぎた。Sさんが「上がろう!」
船はいかりを上げ片名港へと戻る。
「今日は素晴らしい朝焼けと、久しぶりの潮風で気持ちが良かった!」と私が悔しがる。
おすそ分けが大半の ハマチ・鯛・クロダイで70㎝のクーラーが満杯の お持ち帰り。
「今日はよく釣れた!」と 女房に。



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