視察
- 加藤 誓(ちかい)

- 2021年6月9日
- 読了時間: 2分
更新日:2022年6月18日

近所の先輩であるが、めでたく1カ月後、退院となった。
「良かったですね。でも、少し歩いた方がいいですよ!」先輩
いわく 。「用事もないのに何で歩かないと、いけないのだ」と。
ごもっともである。

コロナ禍で、体力の衰えをカバーするためか、今、スポーツジムや、体育教室が大流行である。
今は亡き先輩にこのことを話したら、恐らく「何で銭まで出して、
動かなければならないのだ」と返ってくるだろう。
私も、健康のためだけの目的で、ジョギングや、ウォーキング、ましてやスポーツジムは、どうも億劫でやる
気がしない。植田川沿いを、毎日、しかも小雨の中をジョギング
しているひとを 眺めると、「何が楽しいのだろう。良く続くわ。辛抱強いひとだなあ」と、何事も三日坊主の私は、ただ、ただ感心するのみである。

そんな私に、昨年10月突然、区役所から
「愛知県環境保全委員」の依頼があり、何の仕事かも分からずじまいで引き受けた。
県から送られてきた書類を見たら、「名東区の自然公園と名東区内全般の環境を視察し、美化の推進や違反事項を毎月報告せよ。」とのこと。

名東区の自然公園は、県管轄の「牧野が池緑地」と名東土木事務所
管轄の「いたかの森」「明徳公園」の3か所である。
私は名東区に住んで20年余になるが「牧野が池緑地」は3回程?
散策したことはあったが、それ以外の二つの自然公園は訪れたこと
もない。
「いたかの森」11月「明徳公園」2月、初めて歩いてみた。

どちらも、私にとっては高低差の険しいハードな森であった。
私は、スーツ姿に革靴で、小型カメラを提げ ブラリ、ぶらり。
ご高齢とおぼしき、トレッキングスタイルの ご夫婦から、
先生に引率された幼稚園児たち、小学生仲間、ボーイスカウトや
バードウォッチングの団体、毎日だと思われる犬との散歩人など
「マメに歩く人」が多いのに感心するやら、驚くやら。
如何に私は不精なのかを思い知った。

取り敢えず、証拠写真をと、撮影を始めた。
木漏れ日が射す木々の向こうにはキラキラ光る池、下草を刈り、良く整備された竹の林、展望台からは「御岳」振り向けば「我が名東区の街並み」、道脇に咲く名も知らぬ小さな花。鴨やヘラブナ釣りのひと。
忘れていた「自然の情景」に、ふと、気付かされた
「視察」であった。
また「歩かない糖尿病患者の私」に、神か仏が与えてくれた「視察」でもあった。



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