殿下
- 加藤 誓(ちかい)

- 2022年1月3日
- 読了時間: 3分
更新日:2022年1月6日

12月から1月に開催される高校・大学・実業団の駅伝をいつも 楽しみに見ている。昔は薄っぺらな靴であったが、最近は科学的に 開発された厚底や二股の足袋スタイルの靴など履いている。エレキバン のようなパワーテープを首等に貼り、姿勢が良くなるというタイツ スタイルが流行とのこと。練習方法など全てに於いて進歩しているようだ。
昭和37年冬、私は知多半島一周東海学連駅伝の7区、大井港から武豊の 9Km 区間のスタート 地点にいる。1位の中京大学がスタートしてから、ゆっくりジョギングなどの準備を始めた。 次々と各校が出発して行った。観衆のおばさんが、私のゼッケンを見て「今年の最後は、どこかね。 ありぁ、やっぱり岐阜薬か!」恥ずかしかったが、3分先の名工大を追っかけた。 今日は何となく腰の位置が数センチ高く感じ調子がいい。7.5Km 付近で監督車から、「前が見え るぞ!頑張れ!」苦しそうに左右に揺れている名工大の走者の姿が見えた。一気に抜き去った。 ゴールまで500m のところで今度は、名市大が苦しそうに喘いでいた。監督のメガホンから 「行けっ!行けっ!ラストスパート!」二人抜くことができた。 出場13校中区間5位の成績であった。
何か一流の長距離選手みたいに書いたが実は 9Km32分もかかり、決して速くはない。名工大、名市大の選手も私も普通の人である。 1学年120名の小さな大学なので、陸上部だけでは駅伝ができないのでバスケット部やテニス 部の人らと共に卓球部の私も借り出されるのである。
それから、3年間冬が近づくとグラウンドや道路で長距離の練習が始まった。結構辛かった。 監督は日頃体育科目を教えている日体大卒の若い先生である。先生の研究は「疲労度の測定」を テーマに医学博士の取得を目指していた。走る前に墨で「足型」を取り走り終えたら、もう一度 「足型」を取る。タイムと疲れ具合を基準とし「土踏まずの体積」の減少率を比較する。 疲れがひどくなると足が扁平になり体積が減るとのこと。 又、検眼機器「フリッカー」(赤点の揺らぎの見え具合測定器)で測定。疲れると揺らぎの発見が 遅くなるとのこと。
私達、駅伝選手は、モルモットでもあったのである。
話は、変わるが、昔マラソン選手でショーターというマラソン選手がいた。 レースの途中で腹痛になり脇道で用を足した。それでも優勝したと言うエピソードは有名である。 走るとお腹の便も走るのか、トイレに行きたくなるのである。
ところで、私は、陸上部員の皆さんから、今も「殿下、殿下!」と呼ばれている。 同級生や後輩は私が駅伝で活躍したため尊敬の意味で呼ばれていると思っているようだ。
知多半島での試走の時、ショーターと同じ途中休憩になったのだ。 その後、癖になったのか長距離の道路練習の時、又、腹痛が起こった。
それから、陸上部の方々は、私を心配し「出んか、でんか!」と呼ぶようになったのだ。
駅伝を見て横腹を押さえる選手を見ると、いつも殿下?は学生時代の駅伝を想い出すのだ。



マラソンで活躍されたこと良い思い出ですね。今年も恒例のマラソンをずっと観ていました。新型コロナの罹患数が増えて来て 又前の状況に戻るのかが心配です。お気を付けて 奥田英子
あるコミックの中に「俺の敵は、だいたい俺です。」というセリフがありました。
人生において、ほぼあてはまると思います。長距離走はまさしく自分との戦いの真骨頂ではないでしょうか。
殿下、尊敬いたします!